「避難者と共に歩んだ8年間」
寒河江市社会福祉協議会
生活支援相談員 奈良崎 美紀子
上段左が奈良崎さん
震災時は、近所のスーパーに買い物に来ており、駐車場の車の中で異変を感じました。店内では、従業員が避難誘導をしている様子を見ながら地震の大きさを実感しました。
避難者支援には、2012年の1月から携わっています。当時は175世帯が寒河江市に避難しており、約8割が母子避難の世帯でした。避難者の個人情報の壁にぶち当たりながらも1軒1軒訪問をして、知り合いからの情報もあり、避難者全世帯を確認しました。
避難当初は、土地勘もないお母さんから、子どもが遊べる公園や病院の情報がほしいと要望があり、「国際ソロプチミスト寒河江」さんの協力を得て、病院・公園・派出所など生活に必要な施設の場所と名前、連絡先が記載されている寒河江市のマップを作成し配布しました。「国際ソロプチミスト寒河江」さんとは、その後も交流会などで一緒に活動をし、シニアランチでは高齢者対象の支援も続けました。
お母さんや子ども達が早く新しい学校に馴染めるように、寒河江市の学校の情報を伝え、同じ避難者のお母さん同士をつなぎました。お母さん同士は個人で連絡先を交換し、横のつながりも徐々にできたようです。子どもの栄養面も気になり、簡単に作れる季節に合わせたお料理レシピを作りヤングママ達に配布しました。交流会では郷土料理などの話題づくりにも役立ちました。
その後、子育て中のお母さんの自主サークルが立ち上がり、陰ながらサポートに努めました。子供の年齢に応じて、就学時前は「アイラブふくしま」、小学生は「マムズ」の2団体で、集まる場を月2回ずつ設けました。情報交換以外でも、寒い山形での生活を乗りきるために、子どもの帽子や手袋を編む手芸の会などを通し、集まるお母さんも増えていきました。お母さん達の手作り料理でクリスマス会を開いた時に、リーダーの方が「奈良崎さんは、寒河江のお母さんです」と感謝の言葉を述べてくれた事が思い出に残っています。
多くの方が帰還されましたが、現在でも近況報告などを通じ交流を続けている方もおります。寒河江市で避難生活を共にした方が、帰還後に子どもが同じクラスになった方もいました。一緒に避難生活を送った同士心強く、子ども達も元気に育ってほしいと思います。
避難後、5年が経ってから、ようやく震災の事を話してくれた高齢の方もいました。時間がかかっても心を開いてくれて嬉しかったです。今後は、高齢者の居場所作りが課題になると思います。
河江市のマップ
お料理レシピ
長い期間、支援をしてきて感じた事は、皆さん「避難元に戻りたい」と思っていることです。涙涙の別れもありました。市の協力のもと開催された多くのイベントでは、みんなで食べたサバ缶入りの山形風流しそうめん、早く寒河江になじんでもらおうと開いた郷土料理の講習会、雪の多い地域ならではのスキー教室など、思い出もつきませんが、寒河江市での避難経験をバネにして今後も頑張ってほしいと心から願っています。
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