フリーペーパー うぇるかむ

「うぇるかむ」は、東日本大震災により、山形県へ多数の方が避難されたことをきっかけに、2011年8月に創刊されました。詳しくはこちらをご覧ください
長井市 いさざわチェリッシュ 長江美香さん

Q 震災時はどこで過ごしていましたか?

 いわき市の小名浜に主人と子ども3人で住んでいました。震災時は次男と三男と3人で自宅にいて、突然激しい揺れに襲われました。幸いにも家具が倒れるなどの被害はありませんでしたが、立っていることすらできない状況でした。揺れがおさまりすぐに、津波が心配になりました。近所の友人宅にいる長男を徒歩で迎えに行き、車で高台に避難しようとしました。しかし、周辺の道路はすでに渋滞し高台への避難は無理だと判断し、近所のスーパーの屋上駐車場に避難することにしました。いわき市には主人の転勤で愛媛県から越してきてまだ間もなく、道も詳しくないので無理に移動しない方が良いと考えました。夜になり主人と会う事ができホッとしましたが、余震もあったのでその後家族で高台に避難をして一夜を明かしました。
 翌日は自宅に戻り、テレビで情報取集をしながらガソリンと食料を調達し避難に備えました。テレビで原発が爆発した瞬間も見ていましたが、放射能が危険という実感もなく何が起きているのか把握できませんでした。その後、親戚や会社の人からも避難を勧められ、14日に家族全員で実家がある長井市に避難をしました。

Q 長井市に避難してからはどのように過ごしていますか?

 主人は仕事のためにいわき市に戻り、私は長井市内で仕事に就き、子ども達はそれぞれ長井市の学校や児童センターに通い始めました。子ども達はすぐに友人もできました。少人数の学校なので皆さんが温かく迎えてくれて親子共々助けられました。現在高校3年生の長男は来年いわき市の大学を受験する予定です。
 2015年7月には、実家の蕎麦屋の店舗を借りて気の合う友人と「いさざわチェリッシュカフェ」でイベントを開催しました。地元の方が作ったおこわやお菓子、古着などの販売もしました。その後、商品開発のアイデアをメンバー3人で話合い「みそパウンドケーキ」と「梅しそパウンドケーキ」を作り、長井市内で販売しました。現在は1人でお菓子を中心に販売しており、夏にはイチゴとヨーグルトのゼリー、秋には実家で収穫したさつまいもを使ったスイートポテトなど季節のお菓子も作っています。昨年は、伊佐沢地区の文化祭に出店し、長井市へ避難されている皆さんや児童センターのイベントでも配っていただきました。「美味しかった」と喜んでいただけると、お菓子作りをしていてよかったと心から思います。

 

Q 今後の夢は何ですか?

 「自分の夢は、家族みんなで暮らせる家を作りたいから一級建築士になる事!」と中学1年生の時に次男が作文に書いてくれました。私もいつかそんな日が来るように願っています。

みそパウンドケーキは自家製みそを使い、小さなお子さんから、お年寄りまで馴染みのある味に仕上げました。甘みと風味のアクセントに地元の鈴木酒造さんのみりん「黄金密酒」を使っています。美味しさをぎっしり詰め込んだパウンドケーキ。お早めに、あがっとごえ~(食べて下さい)

  避難者へのメッセージ

 長井市に来て、たくさんの方との出会い、困った時には助けていただきました。皆さんがそれぞれの事情でいろんな選択をして現在生活をされています。その中で悩みや葛藤もありますが、皆さんが選択したことが正解だと思います。私も今後の事はまだ決めていませんが、前向きに日々過ごしていこうと思います。

いさざわチェリッシュのお菓子は、4月から12月まで下記の店舗で販売しております。
伊佐沢共同直売所
(長井市中伊佐沢1034)  
営業時間:9:00-17:00
(季節により変動する場合があります) 無休