Q 震災の前はどこで過ごしていましたか?
福島市出身です。美容学校を卒業し、美容師の免許を取り、千葉の美容院で働いていました。夫と暮らしていましたが、長男の出産をきっかけに2011年に福島市に帰郷しました。帰郷後すぐに東日本大震災に遭い、原発事故による放射能への心配から、一時東京にいる兄のもとへ避難をしました。1ヵ月後、福島市に戻り7月に長男を出産し、8月に家族3人で山形市へ避難をしました。家族のためにと、夫も山形で転職し協力してくれました。
Q 避難してからはどのように過ごしていましたか?
山形に来てからは、子育てと家事をしていました。次男を3年前に山形で出産し、現在、長男は小学生、次男は幼稚園に通っています。最初に山形に来た時は雪が多い年で、暮らしていけるか不安もありましたが、果物や食べ物がおいしく、子育て施設や遊び場も充実していて、生活しやすい環境でした。周囲の人も人情味があり、とても優しくしていただいています。子育てを通じたママ友も増えました。山形での暮らしも8年目になり、子ども達にとっては山形がふるさとになっています。
Q 今の仕事を始めたきっかけは?
本当は出産後すぐに働きたかったのですが、避難生活と育児のことで忙しく、7年経ってしまいました。福島から離れているとはいえ、放射能のことが気がかりで、他人へ子どもを預けるのを不安に思い、子供の面倒は自分で見てきましたが、上の子の小学校への入学をきっかけに、復職しようと決めました。
今のお店に就職した理由は、震災直後から被災者の無料シャンプーや、被災者の子どもの無料カットなど、支援活動をしているというのを知っていたからです。お店に来たことはありませんでしたが、もし自分が復職するのであれば、被災者・避難者に寄り添っている、このお店で働きたいと思い自分から応募しました。思いが通じ、採用していただき、昨年の9月から働いています。復職に関しては夫も応援してくれました。家事と仕事の両立は大変ですが、休日に仕事があるときなどは、夫に家事・育児を手伝ってもらっています。
Q 仕事を始めていかがですか?
家で子育てと家事をするだけでなく、子どもを預け、自分だけの時間が持てるようになり、充実しています。家以外の自分の居場所があることで、生きがいも増えました。徐々にお客様も覚え、仕事にも慣れてきました。髪がきれいになり、お客様の笑顔を見ることが、この仕事のやりがいだと感じています。オーナーはじめスタッフの皆さんも親切に教えてくれるので、学びながら日々楽しく仕事をさせていただいています。震災はまだ終わりではないという思いを込め、被災者への無料シャンプーとカットも続けてもらっています。髪をきれいにすることで、気持ちをリセットし明るくなってほしいと思っています。
避難者へのメッセージ
長くなった避難生活も、すっかり日常のようになりましたが、日常ではないと思っています。ふるさと福島のこともとても気がかりです。山形は雪を除けば暮らしやすいところだと思います。のびのびと子育てをし、おいしいものを食べ、山形暮らしを楽しんでほしいです。お店にもお気軽にお越し下さい。
【Hair with Water(ヘアウィズウォーター)】
~髪と肌を大切にする方のための美容院~
1階・2階フロアを使った広々とした店内、お子様のKIDSルームも完備
火~木・日10:00~18:30/金・土10:00~20:00
(毎週月曜定休/その他休日あり)
住所:山形市大手町3-20 TEL:023-633-0532
WEB:http://hairwith.com