古民家暮らし
遊佐町
西山宣暢さん ・秀子さん
Q 震災の前は、どこで過ごされていましたか?
【宣暢さん】出身は仙台市です。会社員を経て、定年後、石巻市の牡鹿半島にある大原浜の古民家に移住しました。住んで7年目で東日本大震災にあい、津波で家が全て流されてしまいました。高台のお寺に数日間避難し、娘を頼りに名古屋に向かい、5ヶ月間公営アパートに入居しました。公的な支援は利用させてもらいましたが、あてにはせず、すぐに再スタートを切りました。筋トレやグラウンドゴルフの仲間を探すなど、気力・体力の維持や人との付き合いがきれないよう心がけました。
【秀子さん】出身は岩手県宮古市です。山に囲まれた田舎暮らしに憧れていました。自分でモノ作りをするのが好きで、石巻の生活が気に入っていました。被災で思い出の品も流されましたが、自分では〝 終活 〟だと思うようにし、すぐに気持ちを切り替えました。
Q 遊佐への移住のきっかけは?
【宣暢さん】名古屋に避難した時に、愛知・三重・岐阜・長野などの古民家を見て回りました。秋田に物件を見に行った帰り道に、遊佐の「道の駅」に立ち寄りました。妻がメロンを見て感動し、その足で役場に行き、今の古民家を紹介してもらいました。遊佐のことは全く知りませんでしたが、古民家の写真を見ただけで気に入り、即決しました。
2011年8月に初めて来た時は、草だらけのジャングル状態で、写真と全く違うので苦笑いしました。敷地千坪、築百年の古民家ですが、買い手がつかず、処分に困っている物件だと後で知りました。次の日には草刈り機で下草を刈り、玄関にたどりつくまでに2日間かかりました。屋根の雨漏りや、家の中も傷んでおり、最低限を業者に依頼し、あとは自分たちで修繕しました。住めるようになるまで2ヶ月、庭の下草を処分するのに2~3年かけ、周囲の板塀も木材を調達し、加工は自分たちで行いました。土留めもコンクリート作りからやっています。毎日少しずつ手入れをし、ようやく現在の暮らしに落ち着きました。
Q 遊佐での暮らしを教えてください
【宣暢さん】夏場は鳥海山を見上げながら日々草取りをしています。蔵も修繕し、作業小屋も作りました。今は庭造りを楽しんでいます。外仕事は体力づくりの一つだと思い、全く苦になりません。時間があれば工房で木工製品を作ったり、グラウンドゴルフをしています。遊佐は湧き水が豊富で、とにかく水がおいしい。夕日の日本海や鳥海山は美しく、豊かな暮らしができています。人柄もみな温かく、日々是好日を心がけて暮らしています。
【秀子さん】家の中は手作りのものが多く、最小限のものだけ置いて整理整頓を心がけています。野菜は自給自足し、干し柿やブドウ酒なども作っています。以前から興味があった「遊佐刺し子」を始めて6年になります。先生に習い、敷物や傘など数々の作品を作りました。他にも「青苧(あおそ)」を使った手芸品や、酒田に伝わるつるし飾りの「傘福」作りも楽しみの一つです。フォークダンスも習い始め、友達も増えました。遊佐は自分にとって大切な場所になりました。
避難者へのメッセージ
【宣暢さん】「我が人生いたるところに青山(せいざん)あり」、自分の人生は与えられるものではなく、自分で作り上げるものだ、という気持ちで古民家暮らしを楽しんできました。様々な転機がありましたが、人との出会いに助けられました。私たちの暮らしが参考になるなら、ぜひ見学にお越しください。
【秀子さん】私はやることがたくさんあり、感謝の気持ちで暮らしています。これまで夫婦2人で力を合わせて乗り越えてきました。我が家へのお客様には、七夕飾りに願い事を書いてもらっています。機会があればお越しください。
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【お問合せ】
復興ボランティア支援センターやまがた
TEL:023-674-7311