フリーペーパー うぇるかむ

「うぇるかむ」は、東日本大震災により、山形県へ多数の方が避難されたことをきっかけに、2011年8月に創刊されました。詳しくはこちらをご覧ください
ガーデン四季 従業員  南陽市 佐藤いつ香さん

ガーデン四季 従業員  南陽市 
佐藤いつ香 さん

 

Q 震災の時はどこで過ごしていましたか?
 自宅は福島市ですが、地震の時は郡山の実家にいました。地震の1週間後から、3月いっぱい子どもと東根市の友人宅に避難しましたが、4月に南陽市で受け入れをしていると知り、福島市に住んでいる夫も通いやすい距離の南陽市に移りました。当時は何が起きているのか受け止めきれていませんでしたが、とにかく逃げなきゃという思いで避難してきました。

Q 避難してきて、どのように過ごしてきましたか?
 南陽市は町がコンパクトで動きやすく、幼稚園もアットホームな雰囲気があって、とにかく子育てがしやすい町です。ここで子育てをして、子どもの基礎となる時間を過ごせた事は、子ども達にとってもすごく良かったと思います。
 3人の子育てをしながら、色々な避難者のサークルやイベントに参加してきました。以前、美術の教職に就いていて、パステルアートの資格もあり、学童の先生や、避難者サークルで習いたい、と言ってくれた人に教えた事も、いい経験になりました。
 避難してから沖縄の保養に行った時は、人生観が大きく変わりました。ジャーナリストの広河隆一氏が、福島の子ども達のために、チェルノブイリの事故を踏まえ、いち早く保養所を作ってくださいました。その保養施設「球美(くみ)の里」は、職員の方をはじめ、各地のボランティア、久米島の方、海外の方の「福島の人の力になりたい」という気持ちで営まれています。人のために動いてくれている人がいる事に、とても希望を感じました。そして自分自身も含め、世の中が「自分さえよければいい」という考えで生きているのではないか、という事に気が付きました。  原発も、どこかで潤う人もいるかもしれないけど、被害を受ける人もいる。「自分さえよければいい」という思いが事故を生んでしまったのではないかと思い、自分も変わらなければいけないという気持ちになりました。

Q 今後はどのように過ごしていきたいで すか?
 昔は演劇やマーチングなど、色々な事をするのが好きでした。子どもができてから子育てばかりしてきましたが、最近、花苗の会社「ガーデン四季」で働き始めました。花に癒される、すごく楽しい職場で、働き始めた事で色々な人に出会って刺激をもらい、絵を描いたり、地域のイベントに出店したり、自分のやりたい事も湧いてきました。次は何をしようかとわくわくしています。残りの山形での時間を、考えるだけではなく、色々な事を動いてやってみながら考えていこう、と思っています。

避難者へのメッセージ
 まずは自分の思いを認めてあげること。そこから前に進める気がします。みんな考えることは違っても、私は「自分はこういう考えで、こう生きたい」と正直な気持ちを大切にしていたいし、ちゃんと言える自分でありたい。子どもにもその姿を見せたいと思います。
 今回の原発事故と同じことがこれから起きないためにも、当事者が声を上げていく事は大事だと思い、原発訴訟にも参加して声をあげています。
 人生はいつからでもスタートできると思うし、みんなそれぞれ違う力を持っていると思います。原発事故は起きてしまったけど、また新しい場所で力を生かしていけたらいいなと思っています。

☆佐藤さんと連絡を取りたい方は下記までお問い合わせください。お繋ぎします。

【お問合せ】復興ボランティア支援センターやまがた
TEL:023-674-7311