フリーペーパー うぇるかむ

「うぇるかむ」は、東日本大震災により、山形県へ多数の方が避難されたことをきっかけに、2011年8月に創刊されました。詳しくはこちらをご覧ください
在来作物マイスター 米沢市 内海玉恵さん

在来作物マイスター
米沢市 内海玉恵 さん

 

◆Q 震災の時はどこで過ごしていましたか?

仙台市青葉区出身です。震災の時は実家にいました。地震で家は全壊になってしまい、しばらく両親と一緒に兄の家に身を寄せていました。当時働いていた温泉旅館では、温泉源が地震で止まってしまい、職員はほとんど解雇されました。その後、仕事と住む場所を探していた時に、米沢市の知り合いから紹介されたのが、今の夫の所でした。在来作物にはずっと前から関心があって、震災後、以前からよく通っていた鶴岡市の飲食店でも半年間住み込みで働きましたが、今は米沢に戻って住んでいます。


◆Q 在来作物マイスターになったきっかけは?

 米沢に来てからずっと、在来作物が好きなら何か自分にできないか、と考えていました。山形大学農学部で在来作物の講座があると聞き、片道3時間かけて3年通い、在来作物案内人とマイスターを取得しました。マイスター取得時の論文では「幻の米、『亀の尾』を育てたい」と発表しました。
 そんな私を見て夫も興味が湧き、その後鶴岡でご縁のあった酒蔵さんに条件付きで『亀の尾』の種籾を譲って頂き、育て始める事になりました。
ある時、六号酵母で造った日本酒を楽しむイベント「六号酵母サミット」がある事を知り、開催前に主催者の方の所に夫と訪ねました。話をしたところ、長井市や秋田の酒蔵さんとご縁があったことから、「このご縁は面白い!『亀の尾』を育てているのでしたらそのお米でお酒を造り、サミットで使いましょう」と主催者の方のご厚意でお酒を造ることが決まりました。 そのお酒名が「69ウロボロス」。その後、昨年6月に開催された「六号酵母サミット」の乾杯酒として使われました。
在来作物に関わっていると、在来作物が好きな人同士、色んな人に出会うことができます。生産者や加工者、企業の方など色んな人と繋がれて、願っていたお酒も造ることができました。
(※『亀の尾』は米の品種の名前です。)

 

◆Q 今はどのように活動していますか?

『亀の尾』は東京で食米としても出荷しています。それ以外にも、周辺の農家の方たちに種を譲ってもらって、数種類の在来作物を育てて、東京で販売しています。
在来作物は味も見た目も個性がある。そこの土地でしか育たないのも特徴。この種があるという事は、何世代も先祖や地域の人たちの苦労や歴史がすべてそこに詰まっているという事。在来作物を囲んでいると、生産者さんと「昔はこんな食べ物があった」とコミュニケーションも膨らむんです。個性が強いので料理はしにくいけど、コツをつかむととても美味しいし、今はあまり食べなくなった人にとっても、昔の味はなつかしいと思います。

◆Q 避難者の方へのメッセージ

 親の代から農業に関わって来て、作物を作ることの原点があったからこれだけのご縁に巡り合えたと思います。今まで誰かの支えがあって、沢山助けられてきました。ご縁の大切さを感じます。
 「いつかこうしたい、こうなりたい」と心で思って、口にして言う事で、誰かがその言葉を拾って、必要なご縁を持って来てくれて、いつか叶う気がします。
 昔から動物が大好きで、ここの家に来てからも犬3匹、猫1匹、鳥1羽、と暮らしています。ほとんどが売れ残りや怪我していたのを保護した訳ありの子たち。震災は一つのきっかけだったけど、震災が無ければ出会えなかった。震災で失った人もいるけど、会いたい人の事は、いつも言葉に出していれば、そこに存在するのと同じくらい存在感は生まれる。違う形で必ず会う事もできます。泣くことより楽しい事を沢山増やしたい。笑って前を向いていきたいと思います。

 

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復興ボランティア支援センターやまがた 
TEL:023-674-7311(平日9:00~17:00)