フリーペーパー うぇるかむ

「うぇるかむ」は、東日本大震災により、山形県へ多数の方が避難されたことをきっかけに、2011年8月に創刊されました。詳しくはこちらをご覧ください
[寄稿]浪江町からの桜レポート
 今春から、避難解除準備区域の指定が解除になった福島県双葉郡浪江町。4月に入っても肌寒い日が続きましたが、中旬頃には桜の花が次々と咲き始め、あっという間に満開になりました。

 居住可能とはいえ、まだまだ実際に町内で見かけるのは復興工事関係の職員や作業員の方々が多いように感じますが、解除前から営業しているローソンや浪江町仮設商業共同店舗施設「まち・なみ・まるしぇ」では、片付けや居住のために戻ってきた浪江町民の皆さんをお見かけするようになりました。あちこちで「久しぶり!」「元気にしてたか?」と言った再会を喜ぶ声を時々耳にすることがあるのですが、居合わせた私までなんだか嬉しい気持ちになってしまいます。

 「請戸川リバーライン」と名付けられている遊歩道沿いの桜並木は、4月の第三週には満開となり、私が見に行った日も、お孫さんを連れた年配の方などがお花見に来ていました。暖かい日差しの中、青空を背景にハラハラと風に吹かれて舞い散る桜の花びらを眺めていると、ここが6年もの間、自由に立ち入ることができなかった場所だったことが信じられない気持ちになりました。もちろん浪江町内には未だに放射線量が高く立ち入りできない地域もあるのですが、この桜並木周辺は撮影当日0・177μSv/hでした。「戻る」・「戻らない」のことはちょっと脇に置いて、桜を見に来れるようになって良かったなあと思えたひと時でした。
(南相馬市S)