3回にわたり村山市農村文化保存伝承館で開催された「福島ピクニック」(東北芸術工科大学東北復興支援機構主催)は、「また必ず行きたい!」という県内避難者家族の声を受けながら年内のプログラムを完了した。 主催の東北芸術工科大学東北復興支援機構は、発災以前の街の再現を意味する「復興」ではなく、それ以後にあらためて追い求める「幸福」の新しいカタチを、被災した人々とともに考え、デザインし、分かち合う「福興」として、この企画を実現させた。
同大学の学生や、卒業生達が講師として担当する多彩なプチ・ワークショップによって構成されたこの企画、特に、食に密着した内容が充実していた。
みんなで収穫した野菜で作る季節のスープ、手作りジャム、そば打ち、焼き芋、焼き林檎、焼きマシュマロ、そして、毎回定番のこだわりタイム、美味しく煎れるコーヒーなどなど…企画全篇を通じて美味しい楽しさが満ちていた。
また、本のワークショップ、マップづくりなどの創作や、焚き火をするために山道へ薪を採りに行く野外散策企画も。参加者が「やりたいようにやれる」時間を楽しめるクリエイティブな受け皿が満載で、スタッフ、参加者ともに、すべてを忘れて無心に楽しめるだけのパワーを持つ、まさに心躍る「ピクニック」の1日がそこにあった。
堅苦しさは一切無く、「できるだけ子ども達が主体となり、学生はその手伝いをする」という関係も、会場全体がリラックスする秘密かもしれない。
知らない人同士でも自然に集まり、自然に会話が始まり、自然に笑顔が生まれる。すばらしい空間、それが福島ピクニックの思い出として、みんなの心に残っているようだった。(佐藤)
※東北芸術工科大学東北復興支援機構は、冬期間はものづくりに焦点を絞った『福しま図案室』という企画を開催します。詳しくは本誌おすすめ情報をご覧ください。