フリーペーパー うぇるかむ

「うぇるかむ」は、東日本大震災により、山形県へ多数の方が避難されたことをきっかけに、2011年8月に創刊されました。詳しくはこちらをご覧ください
詩人 和合亮一さん 寒河江市で朗読会
震災後、ツイッターなどで詩を発信し「詩の礫(つぶて)」という本が話題となった福島の詩人・和合亮一さんの朗読会が、1月31日、寒河江市立図書館で開かれました。
 和合さんは原発事故後、妻の実家である山形県中山町に妻と息子を一時避難させた経験もあり、「山形には親戚もいて、とても所縁のある土地です。」と原発事故直後の体験やその時の想い、友人との関わりを話すと、「私ももしかしたら、山形に来ていたかもしれない。」と涙をうかべ詩を読みました。
 『放射能が降っています。静かな夜です。』と始まる原発事故直後、妻子を避難させ、孤独と向き合う中で書き始めた詩や、南三陸町で避難を呼びかけ続けた防災庁舎の女性を書いた詩『高台へ』などを、語るように、時に叫ぶように朗読し、和合さんの迫る言葉に圧倒された会場は、涙を堪える観客で溢れました。
 「言葉や声には『灯り』があり、『芯』がある。その『灯り』が人の心を開き、『芯』が人を導いてくれる。特に子どもたちの作品にはそういう力がある。」と話すと、福島や宮城の子どもたちの詩をいくつか紹介し、伝えていく事の大切さと、自身も言葉に向かい合い、人に伝えることで?負けてたまるか〟と次第に心が強くなったことを話ました。
 「避難した人も、福島に残った人も、全く同じ事情でそれぞれの生活をしている。お互いを責めることはせず、それぞれの中で福島を大事にしていけばいい。『決意』という詩の中にも書いた一説『福島で生きる 福島を生きる』は福島に残った人と、福島を離れても福島を想いながら生きる人を表しました。困ったときはお互いを頼り合い、分かち合っていきたい。」と山形に避難した方々へメッセージを贈りました。
■和合亮一さん
 オフィシャルウェブサイト
【杖 に        和合 亮一】
悲しみを 杖にして
歩いていきましょう
草がぼうぼうと
生えている野原を
ただひたすらに
杖は歩くたびに
きみの心に
痛みをもたらすでしょう
それでも
しっかりと握って
道なき道を
涙をこぼしながら
歩いていきましょう
いつしか
連れていくでしょう
はるか優しい
風が吹く
丘の上へ