牡鹿半島の東端に位置する宮城県石巻市鮎川(旧鮎川町)は、古くから捕鯨の町として活況を呈して来ました。
東日本大震災では津波による甚大な被害を受けましたが、目の前に広がる海は黒潮と親潮のぶつかる世界三大漁場の一つと云われ、ここがもたらす豊富な海産物は復興の大きな礎となっています。
今では近海の調査捕鯨も再開され、大きく新鮮なクジラが水揚げされます。これは浜で解体され、クジラの握り寿司やクジラのユッケ丼となって、地域の仮設商店街「おしかのれん街」で供されます。
「おしかのれん街」には、被災した商店など十数店舗が入居し、鯨肉はもとより、魚介類、鯨の歯を加工した伝統工芸品などを販売しています。
津波によって壊滅的な被害を受けた鮎川ですが、被害をもたらした海は沢山の海の幸も与えてくれます。復興に向けて歩みつづける鮎川。
目の前の海とそこからの贈り物が、多くの人々を惹きつけて復興の後押しをしてくれます。(押切珠喜)