避難されている方々のために、法律に関する相談会が各地で開催され始めている。その中で、直接相談にあたった弁護士の方に、電話インタビューをおこなった。聞き手は、「りとる福島」の管理人で本誌編集部員でもあるひろぴぃ(佐藤洋)が担当した。
Q:今どのくらいの方の相談がありますか。
A:私が担当しているのは10名弱ぐらいの方達なんですが、そのくらいの人数の相談を聞いている弁護士が他にも大勢おりますね。
Q:避難区域と自主避難それぞれのケースの相談で感じる違いは?
A:自主避難者への損害賠償については、政府の中間指針の中でも全然触れられていないんです。ですから、賠償請求の書類は自主避難者の方に送られていません。そこが最大の違いですね。でも、ある程度の量の放射性物質がそこに存在しているという状況がある以上、指定区域内か否かにかかわらず損害賠償を受ける権利があると考えています。
Q:自主避難の地域も、全て損害賠償請求の対象になると思いますか。
A:基本的にその方向で進めています。もともと年間の空間放射線量が1ミリシーベルト未満のところに住んでいたのに、原発事故後は間違いなくその数値を超えている訳ですから。
Q:個別訴訟と、集団訴訟という考え方があるようですが。
A:それについては、相談していく中で、それぞれの方の考え方に従うかたちになりますね。もし集団訴訟をするなら、例えば同じ地域に住んでいた人達というグループ、または同じくらいの空間線量の場所にいた人達というグループでの訴訟というのも考えられます。その場合のメリットは、やはり多数の人が同じことを訴えているので、裁判にかかる費用や証拠を集める手間が軽くなることです。
Q:最後に、自主避難者の方達に一言メッセージをいただけますか。
A:日本弁護士連合会は、発行したものの中で自主避難者の損害賠償請求について、「避難に合理性があれば認められるべきである」と書いています。また、一般 公衆の年間の空間放射線による累積被曝の許容量は1ミリシーベルトであったことは明確な事実であり、それを無理やり引き上げるのはおかしいという、シンプルな議論です。これを、裁判所に訴えて、必要な補償を受けるということを考えていただければと思います。精一杯、それをお手伝いします。まずは、なんでも相談してください。
相談会に来ていた方に感想を聞いてみました
SKさん(福島市)私は自主避難組ですし指針にも明記されておりませんでしたので対象にはならないと思っていました。もしあるとしてももっと立場のひどい人、津波の被害も加わった人を優先させるものだと思っておりました。地元には避難したいのに我慢している人もいるので教えてあげたいです。/OYさん(福島市)親切で丁寧ですね、市や県の職員のようにもっと事務的かと思いましたが対応が違うのでびっくりしました。今福島まで通勤しています。娘は来年高校受験の年ですがどこに通わせればよいのか迷っています。放射能のことも含めてはっきりさせたいですね。/HAさん(福島市)まずは集団で訴訟を起こさなければならないかもしれませんね。グループで行った場合、すべての条件が一致するとは限りません。面倒でも集団の部分と個人の部分と両面で交渉できるように持ち込みたいです。