フリーペーパー うぇるかむ

「うぇるかむ」は、東日本大震災により、山形県へ多数の方が避難されたことをきっかけに、2011年8月に創刊されました。詳しくはこちらをご覧ください
浪江町請戸の「安波祭り」写真展〜15年間の記録〜

山形市の吉田カメラ二口橋新本店2階ギャラリーにて「安波祭り」写真展が3月11日から開催され、山形市在住のアマチュアカメラマン渡辺和哉さんが撮影された2011年から2025年までの15年間分の貴重な記録写真が展示されています。

安波祭りは海に面した福島県浪江町請戸地区で行われる、豊漁と海上の安全を祈願する伝統行事で、その歴史は古く300年とも言われています。以前は旧暦の1月24日に行われていましたが、近年は2月の第3日曜日に行われています。

祭りでは、神社で祈願をし、奉賀の行列と神輿が集落を練り歩き、花笠を被った子どもの踊り子が家々を回り、田植え踊りを披露。また、樽神輿を担いだ若者が冬の冷たい海に入り暴れ回り、海水を汲み上げ、にごり具合でその年の豊漁と豊作を占う神事も行われます。

渡辺さんのお話しによると、震災による津波で神社や祭りの道具などは全てが流されてしまい、笠・衣装・女性用の下駄など祭りの道具は新たに探したり手作りするなど、苦労を重ねて現在まで続けられてきました。また、踊り手の子供達も今では成人し、後進の育成にも取り組み、地元の伝統行事をしっかり受け継いでいるそうです。

渡辺さんが初めて安波祭を撮影したのは2011年2月20日で、その翌月に東日本大震災が起き、当時撮影した写真は大変貴重なものとなり、その後、団体の代表や関係先に写真を届け、会場ではパネル展示を行うなど写真を通して交流を重ねてきました。渡辺さんは「これからも写真を撮り続け、伝統行事を見守っていきたい」と語ってくれました。

祭りの会場にて(2025年2月撮影

浪江町 鈴木酒造店前(現在長井市に移転)にて(2011年2月撮影)