荒浜地区は仙台市の中心部から約10km離れた海岸地区で、震災前は海岸一帯に松林が生い茂り夏場の海水浴などで賑わいました。東日本大震災では児童や教職員、住民など320名の方々が荒浜小学校に避難し、翌日には屋上からヘリで全員無事に救助されました。しかし一方で、地区周辺190名の住民が犠牲になりました。
荒浜小学校は明治6年に開校し、浜の子供たちの教育を担うとともに、震災前から、津波の時には避難場所と想定して訓練するなど、地域の防災拠点としても活躍していました。周囲には住宅が密集していましたが、津波ですべて流され、学校だけが残されました。
震災時には91名の児童が通っていましたが、平成28年に閉校。町の住民は集団移転し、周辺は更地に整備されていますが、荒浜地区の思い出を残し、震災の教訓を伝えるために震災遺構として校舎が保存され、広く一般公開されています。
現在の校舎には2階まで入り込んだ津波の跡や破壊された痕跡がそのまま残されており、被害の大きさを知ることができます。展示や映像による資料も豊富で、元教職員や住民の説明を聞きながら見学することもできます。
今回の取材では、当時の校長先生に案内していただきました。津波到達までの混乱の様子や、津波の脅威など迫真に迫るお話をお聞きしました。当時の子供たちの様子を尋ねると「泣いている子供はいたが、大声を上げたりパニックにもならず、目の前の現実を静かに受け入れ、じっと耐えている子供が多かった。今は成人した子もいると思うが、辛い過去を乗り越え立派に成長してほしい」と語ってくれました。
ご案内
震災遺構 仙台市立荒浜小学校
〈住所〉仙台市若林区荒浜字新堀端32-1
〈TEL〉022-355-8517※休館日除く9:30~16:00
〈休館日〉月曜日及び第4木曜日(祝日除く) 年末年始、臨時休館日
〈入館料〉無料
※案内を希望する方は事前にお電話してください。