フリーペーパー うぇるかむ

「うぇるかむ」は、東日本大震災により、山形県へ多数の方が避難されたことをきっかけに、2011年8月に創刊されました。詳しくはこちらをご覧ください
東北芸術工科大学 デザイン工学部 企画構想学科 4年 坂本 茉利奈さん
Q 震災時の様子を教えてください

 当時は南相馬市にいて小学5年生でした。大きな揺れに驚き、全員机の下に隠れました。一時揺れが治まったときにみんなで校庭に避難しました。校庭には大きな亀裂が入っていて、とても怖かったです。「まさか自分が居るところで、こんなことが起こるなんて」と、ただただ驚きました。3月11日は、兄の中学校の卒業式であった為、両親が仕事を休んでいたので、家族が家にいるという安心感がありました。
 自宅は物が落ちた程度でしたが、祖父母の家は、瓦が落ちたり部屋中の物が飛び散り大変な状態でした。曾祖母の家は海の近くにあり、津波の犠牲にあいました。

Q 避難した経緯を教えてください

 3月14日に福島第一原発で2回目の水素爆発があり、福島県が危険と考え避難することになりました。テレビで山形県知事が、避難者の受け入れを表明したこともあり山形県に避難することにしました。最初の2ヶ月は、高畠町の避難所でお世話になり、その後は米沢市の借り上げ住宅に移り、初めての山形暮らしに不安な気持ちもありました。転校の際、友人が出来ないと思いましたが、初めて声をかけてくれた同級生とは今も仲良くしています。また、南相馬市の同級生と逢う機会があり、昔話や現況を聞きながら盛り上がりました。とても楽しいひと時でした。米沢市には、7年間お世話になり、その後山形市にて生活しています。

Q 大学での卒業制作について教えてください

スペシャルインタビュー 『10yearsやまがたwith 相馬野馬追』と題して、山形に避難して来てからの10年間の思いを、私自身が参加したことのある相馬野馬追をモチーフに、作品に残したいと考えています。
 山形での生活で楽しかったことや将来の夢など今後の方向性など何でも良いです。それぞれの想いを、旗に書いていただきたいです。馬は運気を上げる縁起の良いモノとされています。「思いを馬に乗せる」という形にして、「東日本大震災により避難された方やその支援者から見た10年間」にこだわって制作したいと考えています。
 完成した作品は、大学内だけでなく支援センターやそのほかのところでも展示して多くの方々に見ていただきたいと考えています。そしてより多くの方からの感想やご意見をいただき、今後の自分に生かしていきたいと思っています。ご協力よろしくお願いします。
スペシャルインタビュー

避難者へのメッセージ

 東日本大地震から10年という月日が経ちましたが、あの時の記憶は鮮明に覚えています。生きていく中で辛かったことなど、様々な思いがあるかとは思われますが「前に前にと歩んでいける」そんなポジティブな気持ち、皆様の素敵な笑顔を引き出せるような、そんな作品を一緒につくっていけたらと考えております。
 山形に来たからこそ出会えたヒトやコトは「宝物」だと思っています。皆様の「宝物」を作品にしてみませんか。