フリーペーパー うぇるかむ

「うぇるかむ」は、東日本大震災により、山形県へ多数の方が避難されたことをきっかけに、2011年8月に創刊されました。詳しくはこちらをご覧ください
川西町/(株)Gazi工房  赤井 菜津美(あかいなつみ)さん

川西町/(株)Gazi工房 赤井 菜津美(あかいなつみ)さん

Q:震災時の様子を教えてください

当時、仕事で川西町を訪れていました。打ち合わせの直前に地震が発生、テレビで報道され続けていた被害状況を見て、急きょ打ち合わせを中断して、福島へ戻りました。あの時は、地震の後に急激に天候が悪くなり雪が降りだし、過去に感じたことのない恐怖に襲われました。
福島市に戻ると、信号が消えていたり道が通れなくなったりしていて、主要な道路は渋滞していました。やっとの思いで帰宅したことを覚えています。

Q:高畠町に避難した経緯を教えてください

東日本大震災をきっかけに、勤めていた会社が川西町に移転することになりました。福島県に残るのか山形県へ行くか、随分迷いましたが、放射線がどこまで人体に影響するのかわからず、不安を煽る憶測や噂ばかり耳にする毎日で恐怖を感じていたので、避難すればよかったと後悔するより、避難して何もなかったと思う方が良いと考え、避難を決断しました。
しかし、仕事や家庭の都合から動きたくても動けない方もいて、気持ちのすれ違いから友人と距離ができてしまうなど心が苦しくなる出来事もあり、避難したばかりのころは引きこもっていました。

Q:高畠町ではどのように過ごしていますか?

最近は穏やかに過ごしています。ご近所さんと話したり、山形のみなさんの優しさに気持ちが救われています。
休日は山形県内の観光や、高畠町の「まほろばの緑道」で趣味のランニングをしています。移りゆく季節を体感できる高畠町が大好きです。

Q:なぜ聖火ランナーに応募したのですか?

震災後、考え方や価値観が大きく変わりました。何かできることはないかと考えていたところ、聖火ランナーを募集していることを知りました。応募当時(2019年)は、東京オリンピックが震災復興の大きなきっかけになると思いました。各地で復興のために頑張っているたくさんの方を見ていたので、福島復興のきっかけに関わりたいと思い応募しました。
聖火リレー当日、川俣町を走りました。遠くギリシャから各地をつないだ聖火がトーチに灯った時は、責任の重さに気持ちが引き締まりました。今まで経験したことがないくらい緊張しましたが、無事に聖火をつなぐことができてほっとしました。この日のことは一生忘れないと思います。
また、太鼓の演奏などで盛り上げてくれた地元のみなさん、東京オリンピック関係者のみなさん、新型コロナウイルス感染症対策を行いながらという大変な中での準備となったと思います。改めてお礼をお伝えしたいです。本当にありがとうございました。

避難者へのメッセージ

ひとりひとり状況は違うと思います。みなさんの毎日が心穏やかでありますよう、祈っています。
今は新型コロナウイルスという新たな困難もあります。難しい判断を迫られる時があると思いますが、周りの方と助け合いながら立ち向かっていきましょう。

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