あれから8年 東日本大震災を語る(第3回)



「被災地に寄り添い続けた8年間」

(一社)日本ソーシャルセラピストアカデミー(JAST)
代表理事・カウンセラー

大 谷 哲 範




 
 
 岩手県北上市で生まれ、父の転勤で高校生まで東北や関東各地を転々としました。その後、東京でスタジオミュージシャンとして音楽関係の仕事に就き、キーボード奏者として多数のレコーディングやツアーにも参加してきました。また、仕事の傍ら心理カウンセリングについて学び、依存症の方の回復施設で患者や家族の精神的ケアに関わってきました。山形へは2009年に移住してきました。

 東日本大震災の時は、被災地の現状を知り、人として何かしたいという使命感に動かされ、SNS等で呼びかけて食料・衣服・燃料などの生活物資を石巻市や東松島市などの避難所へ届ける活動を始めました。早朝に山形を出発し、夜遅くに帰ってくる生活は半年以上続きました。車の走行距離はどんどん増えましたが、日帰りすることでリフレッシュして次の日に行ける長所がありました。隣県だからこそできることだったと思います。災害支援を通じて様々な仲間との出会いもありました。顔見知りになると、被災者や支援者の心の相談や、支援者どうしのいさかいの仲裁なども増え、依存症施設でのカウンセリング経験が活かされました。知り合った仲間とは、民間の支援拠点づくりなども行い、今でもつながっています。

 被災地も一段落し、2012年頃から山形での活動が増えました。当時、山形では避難者ご自身が支援者でもある当事者団体が活発に活動していました。私が関わってきた依存症施設では当事者による支援はピアサポートと呼ばれ、良い面もあれば脆弱な一面もありました。“自助・共助”の活動は“公助”の支えがないと長続きしないという考えがあり、当事者グループを側面から支えたいと思うようになり、県内避難者への情報支援などを担う山形県被災者連携支援センターの立ち上げにも関わりました。


山元町民間ボラセン(寺セン)立ち上げ時(本人中央)


 現在所属している日本ソーシャルセラピストアカデミー(JAST)は2013年に設立しました。災害後の心のケアに携わる人々の人材育成をしたいという思いで、仲間数人と始めました。活動は個別カウンセリングやカウンセラー養成講座、対話カフェなどを行っています。対話カフェは宮城・福島・岩手の災害公営住宅の集会所を訪問し、現地団体と協力しながら、「昭和歌謡ショー」を開いています。これまでの開催は100回を超えました。昭和のメロディーを共に歌い、思い出を語ることで今の生活の励みにしていただいています。懐かしさに涙を流す方もいらっしゃいますが、ショーの開催を応援してくれる方や、特に男性の参加者が増えました。

 現在は、宮城県にて弁護士、大学の先生、支援メンバーらとともに「災害ケースマネジメント構想会議」に加わっています。東日本大震災での支援活動を教訓とし、今後、自然災害が起きた時にきめ細かな被災者支援につながるよう話し合っています。災害はいつ起きるかわかりません。支援される側にもなれば、応援する側になるかもしれません。被災者の心の声を聞き、自立への再スタートのお手伝いができるよう、これからも細く長く活動を続けていきたいと思います。


【お問合せ】
(一社)日本ソーシャルセラピストアカデミー(JAST)
TEL:023-600-6764
URL:https://www.jast.asia/homeold


 
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